「ポッポのはなし」ここのところ、曲亭馬…

「ポッポのはなし」


ここのところ、曲亭馬琴の「信田妋手白猿牽(しのだづまてじろのさるひき)」という絵草紙を読んでいた。

句読点や漢字がない仮名だけの文はとても読みにくいが、江戸の空気をそのまま吸い込むことができて、半端な時代小説の多さにうんざりしている人にはお薦めの読み物だ。
私レベルだと解読にかなりの時間がかかるため、合巻(長編もの)になると、物語の中盤には差し掛かる頃には前部分は忘れてしまったりする。

そこで今回は全てを書き起こすことにした。ついでに平仮名を漢字にしたり、句読点をつけたり、セリフにはカギ括弧をつけたりして読みやすくもした

悪役の名前は意地川悪右衛門。
断っておくがハイスクール奇面組の話ではない。

義太夫の「葛の葉」には石川悪右衛門というのが出てくるからパロディーなのだろう。

この悪右衛門のセリフの中に気になるワードがあった。
悪「そこで褒美の山吹色、俺がポッポへ、うまいうまい」

悪だくみをして山吹(小判)を我が物にしようと算段しているシーンだが…。

「ポケット、ない、はずだけどな?」


横領したり着服することを「ポッポにいれる」とか「ポッポないない」とか言うのを聞いたことないだろうか。

私は「ポッポ」はポケットの幼児語だと思っていたために、江戸時代の作品でこの言葉を使っていたのは驚きだった。ポケットのない時代のポッポは何を指しているのか。

鳩か?鳩ポッポなのか?

調べてみると室町の読み物にも使われていたという記事があった。

ふところ(ほところとも)が変化したものらしい。


懐をポッポと言いたくなった最初の日本人と、初めてポッポというワードを聞いた日本人のその瞬間を見てみたい。

意外とすんなり「懐のことを指している」ことを受け入れたのではないかと想像する。

こういう発見がそこかしこに隠れており、それを深掘りしては「ほほう!」と感心している。好きなものだけ学べるのは大人の特権だ。絵草紙、面白い。
草双紙や絵草紙と呼ばれる本は、庶民のための読み物である。多くの人が読めるように平仮名で書かれているのだが、時おりくずれた漢字が出現する。全く読めない字もあった。

これは何と読んだらいいのか、さっぱりわからない。漢字なのかもわからない。
ちなみに前後の文はこの様になっている。
「彼奴をこのまま都へ曳かせて管領〇〇の御沙汰にまかせん」

人の名前である可能性が高いと思う。どなたか分かる方がいたら教えてほしい。
この人は主人公を助けるヒーロー役。いい人だからその名は「よか平」。


















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2023年06月22日 Posted by松本ジャポニスム実行委員会 at 16:01 │Comments(0)

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